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声明・意見書

会長声明 2014年09月30日 (火)

死刑執行に抗議する会長声明

 平成26年8月29日,東京拘置所及び仙台拘置支所において,2名に対する死刑の執行が行われた。これは同年6月26日,大阪拘置所において、1名に対して死刑が執行されたことに続く,谷垣禎一法務大臣(当時)による6度目の死刑執行である。
 同大臣による死刑執行は合計で11名に至っており誠に遺憾と言わざるを得ない。
 当会は,昨年度も,死刑執行を停止し,死刑に関する情報を広く国民に公開し,全社会的議論を踏まえた上で,その見直しを求めてきたものであり,これにも関わらず死刑執行が行われたことに,強く抗議するものである。
 当会としても,平成24年,会内に死刑廃止プロジェクトチームを設置し,死刑に関する議論を広めるべく活動を開始し,平成25年7月には市民参加の下,「死刑を考える日2013」を開催するなど,死刑のない社会を目指した議論を重ねてきた。こうした取組みの中で,えん罪と死刑の関係など,現行の死刑制度に関する様々な問題点が指摘されたところである。
 特にえん罪,すなわち誤判の恐れについては,本年3月27日,静岡地方裁判所が,袴田巖氏の第二次再審請求事件について再審を開始し,死刑及び拘置の執行を停止する決定をしたところであり,誤判の危険が改めて明らかになったところである。
 国際的に見ても,国連人権(自由権)規約委員会は,本年7月24日,日本政府に対し,死刑の廃止について十分に考慮することや,執行の事前告知,死刑確定者への処遇等をはじめとする制度の改善等を勧告している。死刑廃止が国際的にも大きな潮流であることは明らかである。
 日本弁護士連合会においては,死刑のない社会が望ましいことを見据えて,平成23年10月7日,第54回人権擁護大会において「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め,死刑廃止についての全社会的な議論を呼びかける宣言」を採択している。
 裁判員制度において市民が死刑判決に関わらざるを得ず,困難な判断を迫られる状況の下で,死刑制度とその運用に関する情報の公開が進まずに公の議論が何ら行われないまま執行だけが繰り返されていることは,到底容認できない。
 当会は,今回の死刑執行に強く抗議するとともに,死刑執行を停止することと死刑に関する情報を広く国民に公開することを要請し,死刑制度についての全社会的議論を踏まえたうえで,その抜本的な検討及び見直しを重ねて求めるものである。

2014年9月30日

福井弁護士会  
会 長 内 上 和 博

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