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会長声明 2013年10月31日 (木)

福島第一原発事故に関し,損害賠償請求権を実質化するための立法措置及び,健康被害を未然に防ぐための措置を求める会長声明

1 福島第一原子力発電所事故(以下「本件事故」という。)は,放射性物質の大量放出という極めて重大な結果をもたらし,その被害は事故から2年以上を経過した現時点でも日々刻々と顕在化し続けている。この間,本件事故による被害の救済や被害予防に対する国の施策が尽くされていない状況にあることは,日本で最も多数の原発が集中している本県にとって決して看過できないものである。
そこで,当会は,国に対し,本件事故のあらゆる被害を完全に回復するため,下記に挙げる各措置を早急に採るよう求める。
(1) 本件事故により既に顕在化している被害の完全かつ早急な賠償を実現するため,①国自ら損害賠償の主体となること,②被害者の生活等の原状回復を基調とした賠償を行うこと,③被害者の将来の生活維持や健康不安にも対応した賠償体制を整えること,④東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)に対し,原子力損害賠償紛争解決センターの提示した和解案を尊重し,迅速かつ誠実に履行するよう強く指導すること,⑤法律・制度の制定において被害側の当事者を参加させること,を基本理念とした法律・制度の整備等の措置を採ること。
(2) 本件事故による被害は多岐にわたる,深刻かつ継続的なものであり,かつ未だその全容は明らかでないことを踏まえ,国自らが主体となって大規模かつ計画的・継続的な被害実態の調査を行い,また,上記の被害実態調査を踏まえた損害賠償の指針の全面的な見直しを行うこと。
(3) 本件事故の損害賠償請求権について,消滅時効(民法第724条前段及び同法第167条第1項)及び除斥期間(民法第724条後段)によって,被害の救済が阻まれるような事態は絶対に許されてはならない事態であるため,本件事故の損害賠償請求権について,消滅時効・除斥期間の規定を適用しないことを内容とする特別措置法を,遅くとも本年末までに制定すること。
(4) 東京電力から被害者に支払われる損害賠償金は,相当部分が現行の各種税法上,課税対象とされる可能性があるが,支払われた損害賠償金は,被害者の生活再建や事業再生に必要不可欠な資金となるものであることを踏まえ,本件事故による賠償金について政策的に非課税とすべく,特別の立法措置を採ること。
2 当会は,本件事故による膨大な放射性物質の放出により,今後,種々の健康被害が顕在化していくことを懸念する。現時点において健康被害を未然に防ぐための国の施策は不十分であることから,当会は,国に対し,今後顕在化していく健康被害を防止するため,下記に挙げる各点に関し法整備などのあらゆる施策を早急に講ずることを求める。
(1) 2012年成立した子ども・被災者支援法が,避難・残留のいずれを選択した被害者にも適切な支援を保障した法律であることを踏まえ,子ども・被災者の健康被害を回避するため適切かつ具体的な内容の基本方針を策定し,実施すること。
(2) 本件事故で発生した放射線による健康影響について,被害者各人への継続的な健康調査を実施し,被害者各人にその結果を開示すると共に,プライバシーに十分に配慮しつつ同調査により医学的知見を集積させ,被ばくによる被害に迅速に対処すること。
(3) 被ばく労働に従事する作業員の健康を守るための措置を採ること。
(4) 食品の安全基準につき,特に子どもの健康を十分確保するため,外部被ばく・内部被ばくを合計した年間実効線量が1ミリシーベルトを超えないよう見直しを行うこと。
(5) 居住地域において本件事故以前の環境水準を確保し,また,新たな汚染の拡大を防止するため,大気・土壌・海・川などの放射能汚染を調査・公表して,汚染に対処する法整備を行うとともに,汚染された地域の除染について長期にわたる管理及び生活圏における適時適切な除染等を行うこと。

2013年(平成25年)10月31日
福井弁護士会 会長 島田 広

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