法律問題全般において
法律相談を受け付けております

MENU CLOSE

声明・意見書

会長声明 2014年12月18日 (木)

福井事件再審請求最高裁決定に対する会長声明

最高裁判所第二小法廷(千葉勝美裁判長)は,2014(平成26)年12月10日付けで,いわゆる「福井女子中学生殺人事件」に関する再審請求事件(請求人前川彰司氏)の特別抗告審につき,抗告を棄却する旨決定した(以下「本決定」という。)。
本件は,前川氏が一貫して無実を主張し,前川氏と犯行を結び付ける客観的証拠も皆無であり,第1審では無罪判決,控訴審では有罪判決(その後,上告棄却により確定)と確定前の下級審で判断が分
かれた事件であった。
 有罪判決確定後,前川氏は,2004年(平成16年)7月,当会の支援の下に,名古屋高等裁判所金沢支部に再審請求を申立て,再審請求審である名古屋高等裁判所金沢支部は,2011年(平成23年)11月30日,凶器と認定された2本の包丁では形成不可能な創傷が存在すること,犯行に使用したとされる自動車内から本来あるはずの血痕が発見されていないこと,さらに,自殺偽装が行われる等現場状況からうかがわれる犯人像が前川氏と著しくかけ離れたものであることなどを認め,確定判決が有罪認定の根拠とした関係
者の各供述の信用性に疑問を抱かせ,前川氏を犯人とするには合理的疑いが生じたとして,再審開始を決定した。
 ところが,異議審である名古屋高等裁判所刑事第一部は,請求審による再審開始決定が指摘した疑問点や請求審における審理過程を無視し,弁護団の提出した新証拠についてはいずれも旧証拠の証明力を何ら減殺するものではないとして,再審開始決定を取り消した。
 そこで,前川氏は,最高裁判所に特別抗告を行い,再審請求審の事実認定が合理的であること,異議審が再審請求審の審理経過や証拠調べの内容を無視した不合理なものであることを指摘していた。
 ところが,本決定は,判例違反等の特別抗告理由を欠くという,形式的な理由で異議審決定を是認した。
 前記のとおり,本件が,判決確定前も第1審と控訴審で判断が分かれ,再審請求でも高等裁判所の判断が分かれた事案であることに鑑みれば,最高裁判所は,裁量で事実認定にも踏み込み,具体的な説示を行うべきであった。しかるに,最高裁判所は,何ら具体的な説示をしないまま,形式的な理由のみを掲げて特別抗告を棄却しており,このような態度は,司法に対する信頼を著しく損なうものと言わざるを得ない。
 当会は,今後とも,請求人の再審が開始されることを目指して,引き続き支援を惜しまぬ所存である。

2014年(平成26年)12月18日
福井弁護士会
会長 内 上 和 博

一覧へ