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声明・意見書

会長声明 2016年04月22日 (金)

死刑執行に強く抗議し,死刑執行を停止し,死刑制度について全社会的議論を求める会長声明

 2016年(平成28年)3月25日,大阪拘置所において1名,福岡拘置所において1名の合計2名に対して死刑が執行された。岩城光英法務大臣による昨年12月に続く死刑執行である。

 死刑制度は,死刑が人間の生命を奪うという非人道的行為であること,EUを中心とする世界の約3分の2の国々が死刑を廃止又は停止していること,誤判・冤罪に基づき死刑執行がなされた場合には取り返しがつかないこと,などの様々な問題を内包している。

 特に,2014年(平成26年)3月27日には,静岡地方裁判所が袴田事件について再審を開始し,死刑および拘置の執行を停止する決定をしたところであり,誤った死刑判決に基づく執行の危険性は依然として残されたままである。

さらに,2014年(平成26年)2月には,裁判員経験者から,法務省に宛てて死刑執行停止の要望書が提出されており,また,同年11月の内閣府世論調査において,「死刑もやむを得ない」との回答が80.3%であったものの,そのうち40.5%は「将来的には,死刑を廃止してもよい」と回答していること,「仮釈放のない終身刑が導入されるならば」という前提の質問に対する回答において,「死刑を廃止する方がよい」37.7%,「死刑を廃止しない方がよい」51.5%との比率となっていることからも,死刑制度の存廃について議論する必要性があると言える。

 日本弁護士連合会が, 2011年(平成23年)年10月7日,第54回人権擁護大会において「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め,死刑廃止についての全社会的な議論を呼びかける宣言」を採択したこと等を踏まえ,当会も,2012年(平成24年),会内に死刑廃止プロジェクトチームを設置し,死刑に関する議論を広めるべく活動を開始し,2013年(平成25年)7日には市民参加の下,「死刑を考える日2013」を開催するなど,死刑のない社会を目指した議論を重ねてきた。そして,当会としても,2016年(平成28年)1月21日付け,2015年(平成27年)7月1日付け等の会長声明において,十分な全社会的議論が尽くされることなく死刑が執行されていることに強く抗議するとともに,死刑執行を停止し,死刑制度について全社会的議論を行う必要性を繰り返し表明してきたところである。

 また,昨年度からは,中部弁護士会連合会内にも死刑問題検討ワーキンググループが設置されたことから,中部地方の各弁護士会とも連携して,より幅広く死刑制度の存廃について全社会的議論を行うための取り組みも進めているところである。

 このような状況下で,死刑制度とその運用に関する情報の公開がなされず,公の議論が何ら行われないまま,死刑執行だけがさらに繰り返されていることは,到底容認できない。

 このような実情を踏まえ,当会は,これまでの死刑執行に対しても強く抗議してきたところであるが,今回もまた全社会的議論がなされないなか,死刑が執行されたことに強く抗議するとともに,死刑執行を停止することと死刑に関する情報を広く国民に公開することを要請し,死刑制度についての全社会的議論を求めるものである。

 

 2016年(平成28年)4月22日

福井弁護士会

 会長 海 道 宏 実           

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