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声明・意見書

会長声明 2009年10月30日 (金)

改正貸金業法の早期完全施行等を求める会長声明

 経済・生活苦での自殺者が年間7000人に達し,自己破産者も18万人を超え,多重債務者が200万人を超えるなどの深刻な多重債務問題を解決するため,2006年12月に改正貸金業法が成立し,出資法の上限金利の引下げ,収入の3分の1を超える過剰貸付契約の禁止(総量規制)等が,本年12月から来年6月にかけて完全施行される予定となっている。
 改正貸金業法成立後,政府は,多重債務者対策本部を設置し,同本部は①多重債務相談窓口の拡充,②セーフティネット貸付の充実,③ヤミ金融の撲滅,④金融経済教育を柱とする多重債務問題改善プログラムを策定した。当会においても,こうした行政の活動に協力すべく,2008年10月から,行政機関からの紹介による多重債務無料相談を受け入れる体制を整備するとともに,今年10月から,休日も含めた無料法律相談を新たに実施するなど,積極的な対策を講じてきた。
 官民が連携して多重債務対策に取り組んできた結果,多重債務者が大幅に減少し,2008年の自己破産者数も13万人を下回るなど,着実にその成果を上げつつある。
 他方,一部には,消費者金融の成約率が低下しており,借りたい人が借りられなくなっている,特に昨今の経済危機や一部商工ローン業者の倒産などにより,資金調達が制限された中小企業者の倒産が増加しているなどといった点をことさら強調して,改正貸金業法の完全施行の延期や貸金業者に対する規制の緩和を求める論調も見受けられる。
 しかしながら,1990年代における山一証券,北海道拓殖銀行の破綻などに象徴されるいわゆるバブル崩壊後の経済危機の際は,貸金業者に対する不十分な規制の下に商工ローンや消費者金融が大幅に貸付を伸ばし,その結果,1998年には自殺者が3万人を超え,自己破産者も110万人を突破するなど,むしろ多重債務問題の深刻化を招いたことを看過してはならない。
 今,多重債務者のために必要とされる施策は,相談体制の拡充,セーフティネット貸付の充実及びヤミ金融の撲滅などである。改正貸金業法の完全施行の先延ばし,金利規制などの貸金業者に対する規制の緩和は,再び自殺者や自己破産者,多重債務者の急増を招きかねず,許されるべきではない。
 そこで,当会は,改正貸金業法の完全施行の延期や貸金業者に対する規制の緩和を求める一部の論調に対し強く反対するとともに,多重債務問題が喫緊の課題であることを踏まえ,国及び地方公共団体に対し,以下の施策を求める。
1.改正貸金業法を早期(遅くとも本年12月まで)に完全施行すること。
2.自治体での多重債務相談体制の整備のため相談員の人件費を含む予算を十分確保するなど相談窓口の充実を支援すること。
3.個人及び中小事業者向けのセーフティネット貸付をさらに充実させること。
4.ヤミ金融を徹底的に摘発すること。

2009年(平成21年)10月 30日    
福井弁護士会 会長 黛 千恵子

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