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声明・意見書

会長声明 2013年12月18日 (水)

商品先物取引についての不招請勧誘禁止規制撤廃に反対する会長声明

1 総合取引所構想実現のため、金融商品取引法の定める金融商品に商品先物取引を加えた改正法が2012年9月に成立し、これを踏まえて、2013年6月19日、衆議院経済産業委員会において、証券・金融・商品を一括的に取り扱う総合取引所での円滑な運営のための法整備に関する議論の中で、内閣府副大臣は、委員の質問に対し「商品先物取引についても、金融と同様に、不招請勧誘の禁止を解除する方向で推進していきたい」旨の答弁を行った。
2 この答弁は、総合取引所において商品先物取引業者に対して監督権限を有する金融庁が、総合取引所における商品先物取引に関する法規制について、不招請勧誘禁止を撤廃することを検討していることを示すものであるが、これは、以下のとおり、商品先物取引についての不招請勧誘規制が導入された経緯を軽視し、2012年8月に経済産業省産業構造審議会商品先物取引分科会(以下「商品先物取引分科会」という。)が取りまとめた報告書の内容にも反するものであって、到底看過できないものである。
(1) 商品先物取引による被害は、その被害額が大きいことはもちろん、家庭崩壊に及んだ事例、前途の希望を失って自殺に追い込まれる事例、さらには、先物取引による損失が原因となって被害者自身が横領等の犯罪行為を犯してしまう事例など、被害内容が極めて深刻な事案も少なくなく、独立行政法人国民生活センターの苦情件数をみても2000年から2004年までは毎年4000件を超える苦情があるなど、その被害がピークに達した。
その主要な原因の一つは、勧誘の要請をしていない顧客に対して訪問や電話をかける方法により勧誘を行う不招請勧誘により、商品先物取引の知識や経験のない消費者を取引に引き込んだことにあった。
かかる被害の実情に鑑み、2011年1月1日施行の現行商品先物取引法は、第214条第9号において、商品先物については国内公設取引所における取引であっても不招請勧誘を禁止した。同法施行後は、商品先物取引を巡る消費者の苦情相談は激減しており、不招請勧誘禁止が商品先物取引被害救済の決め手となったことは明白である。
(2) 2012年8月には、商品先物取引分科会において、「不招請勧誘の禁止の規定は施行後1年半しか経っておらず、これまでの相談・被害件数の減少と不招請勧誘の禁止措置との関係を十分に見極めることは難しいため、引き続き相談・被害の実情を見守りつつできる限りの効果分析を試みていくべきである」、「将来において、不招請勧誘の禁止対象の見直しを検討する前提として、実態として消費者・委託者保護の徹底が定着したと見られ、不招請勧誘の禁止以外の規制措置により再び被害が拡大する可能性が少ないと考えられるなどの状況を見極めることが適当である」として、当面不招請勧誘禁止規制を維持することを確認する報告書がまとめられている。この点、前述のとおり、不招請勧誘禁止規制が商品先物取引被害救済の決め手となっている実情に鑑みれば、同規制を見直す前提を欠くものである。
なお、2013年11月12日には、消費者委員会が、「仮に商品先物取引における不招請勧誘禁止規制が金融デリバティブ取引に係る規制と同程度に緩和されると被害が再び増加することが予想される一方、商品先物取引に係る現状の不招請勧誘禁止規制の存続によって市場の健全な発展が阻害されるとは言えないため、不招請勧誘禁止規制を緩和すべきではないと考える」としている。
(3) このように、商品先物取引についての不招請勧誘禁止規制は、被害の多発を受けて導入されたものであり、これを撤廃すれば、商品先物取引に関する被害が再び増加するおそれが極めて高い。また、商品先物取引分科会においても規制維持の必要性が確認されているにもかかわらず、それから間もない時期において、何らの検証もなく、規制を撤廃する方向で検討することは到底容認できない。
3 よって、当会は、消費者保護の観点から、商品先物取引についての不招請勧誘禁止規制を撤廃することに強く反対する。

2013年(平成25年)12月18日
福井弁護士会 
会 長   島  田   広

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