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声明・意見書

会長声明 2018年09月18日 (火)

名古屋高裁金沢支部大飯原発3、4号機差止訴訟判決に関する会長声明

名古屋高等裁判所金沢支部は2018年7月4日、福井地方裁判所が2014年5月21日に言い渡した、関西電力株式会社に対し大飯原子力発電所(以下「大飯原発」という。)の3号機及び4号機の原子炉について運転の差し止めを命じる判決(以下「原判決」という。)につき、原判決を取り消し、住民らの請求を棄却する判決を言い渡した(以下「本判決」という。)

 当会は,2012年7月18日に会長声明を発表し,同声明において,確実な安全性が確保されないまま,安易に大飯原発の再稼働がなされたことに抗議した(以下「当会声明」という。)。また,2013年10月18日に福井市で開催された中部弁護士会連合会大会の宣言において,同連合会は,裁判所に対し,原発訴訟においては,行政庁や事業者の主張を追認するだけで科学的専門性に踏み込んだ十分な審理が行われなかったことを真摯に反省し、原告住民側の立証責任の軽減など審理方法の改善を図るよう求めた(以下「中弁連宣言」という。)。

原判決は、福島第一原発事故の深い反省のもと、国民の生存を基礎とする人格権に基づき国民を原発の危険から守るという観点から司法の本来あるべき役割を果たしたものであり、中弁連宣言が求めた審理を行ったものといえる。これに対し、本判決は、原告住民側の立証負担の軽減を十分図ることなく、かつ、原告住民側が求めた多数の科学者証人の尋問を採用しなかった。さらには、地震予測の限界に関する原判決の指摘を肯定し、安全対策が完全に破綻するいわゆるクリフエッジを超えるような大規模な地震が大飯原発を襲う可能性すら肯定しながら、新規制基準及びこれに基づく安全審査の結果の合理性を安易に肯定しており、当会声明が指摘する問題点を十分に検討し、また中弁連宣言が求めたような審理を真摯に行ったのか、極めて疑問が残るところである。このような福島第一原発事故以前と何ら変わらない行政庁の判断への追随姿勢は、新たな安全神話を裁判所自身が作り上げるものともいえ、万が一にもあってはならない原発事故災害が危惧されるものである。

以上のとおり,本判決は中弁連宣言が求めたような適切な審理をしておらず,不当である。よって,当会は,事業者及び国に対し,本判決が大飯原発の安全性を認めたと安易に考えることなく,安全審査を抜本的に見直し,原子力発電所について確実な安全性が確保されない限り,稼働をしないよう強く求めるものである。

2018年(平成30年)9月18日

  福井弁護士会

  会長 前波 裕司

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