会長声明 2023年07月11日 (火)
トランスジェンダー当事者弁護士に対する憎悪に基づく差別的言動及び殺害予告を強く非難し、全ての性的少数者に対する差別根絶を目指す会長声明
本年6月3日から5日にかけて、何者かが匿名で、大阪弁護士会所属弁護士に対し、「男のクセに女のフリをしているオカマ野郎」、「メッタ刺しにして殺害する」などと書いたメッセージを断続的に送信した。
同弁護士は、自らがトランスジェンダーであることを公表し、これまでLGBTQを代表とする性的少数者の権利擁護活動に積極的に関わってきたところ、上記メッセージ送信行為は、当該弁護士に対する明らかな脅迫行為、業務妨害行為であることは勿論のこと、そのメッセージの内容をみても、明らかにトランスジェンダー当事者に対する差別意識に基づくものとみるほかなく、当該弁護士だけでなく、社会における全ての性的少数者の存在そのものを否定するヘイトクライム(憎悪犯罪)にほかならないから、当会として、断じて許すことはできない。
このような性的少数者への差別意識に基づく言動は、様々な属性を持つ人々に対する偏見、敵視及び憎悪を増長し、対立を煽り社会の分断を招きかねず、何人も個人の尊厳が尊重される社会を実現するという憲法理念(憲法第13条)に反するものである。トランスジェンダーかシスジェンダーかに関わらず、また、どのような性的指向や性自認を持つかに関わらず、私たち一人一人が確かな知識を身につけ、ヘイトスピーチやヘイトクライムを行う者に惑わされることなく、毅然とした態度で対峙しなければならない。
当会は、トランスジェンダー当事者弁護士に対する差別意識に基づく差別的言動及び殺害予告を強く非難するとともに、全ての性的少数者に対する差別根絶を実現すべく、そのための活動に力を尽くすことを決意し、ここに表明する。
2023年7月11日
福井弁護士会
会長 麻生 英右