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会長声明 2014年04月30日 (水)

「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する 法律等の一部を改正する法律案」に反対する会長声明

第1 声明の趣旨
当会は,「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案」(以下,「本改正案」という。)に強く反対し,本改正案の廃案を求める。

第2 声明の理由
1 政府は,本年3月11日,本改正案を閣議決定して,同日付けで国会に上程した。
 本改正案は,従来の専門26業務による区分を廃止した上で,①派遣元で無期雇用されている派遣労働者については派遣期間制限を撤廃し,②派遣元で有期雇用されている派遣労働者については,派遣先が3年ごとに
過半数労働組合等から意見を聴取しさえすれば,派遣労働者の入れ替えによって永続的に派遣労働者を受け入れることができるとしている。
労働基準法が中間搾取を禁止し,職業安定法が労働者供給事業を禁止していること等をみても,我が国の労働法制下においては,直接雇用が原則とされており,この直接雇用の原則から,労働者派遣を臨時的・一時的なも
のとする常用代替防止の理念が導かれる。常用代替防止の理念は,労働者全体の雇用の安定と労働条件の維持,向上にとって極めて重要なものである。
しかし,本改正案は,常用代替防止の理念を事実上放棄するものであり,正社員の非正規労働者への置き換えを促し,低賃金かつ不安定雇用の非正規労働者の更なる増加をもたらし,ひいては労働者の貧困をもたらすものであるため到底容認しうるものではない。

2 まず,①派遣元で無期雇用されている派遣労働者については,そもそも派遣労働者が派遣元で無期雇用されていたとしても,その雇用は安定しているとはいえず,労働条件も優良であるとはいえない。派遣先の都合で労働者派遣契約を解除されると,派遣労働者は,派遣先の恣意によって仕事を奪われ,派遣先が無くなったことを口実に派遣元から解雇されたり賃金の支払いを止められたりする懸念があるからである。
また,実効性のある均等待遇確保策もないまま無期雇用の派遣労働者について派遣可能期間を撤廃すれば,直接雇用労働者が優良な労働条件を確保されない派遣労働者に置き換えられ,常用代替を促進することになりかねない。
次に,②派遣元で有期雇用されている派遣労働者については,上限期間を定めているものの,人を入れ替えれば,無期限に派遣労働を利用することが可能となるため,常用代替を防止する制度とはなりえない。
本改正案は,過半数組合又は過半数代表の意見聴取を義務付けているが,その結果反対があったとしても派遣労働者を継続して受け入れることは可能であり,しかも,意見聴取制度が多くの事業場で形骸化している現状に鑑みれば,常用代替防止を図る実効性はない。

3 以上より,本改正案は,常用代替防止の理念を事実上放棄するものであり,正規社員が非正規社員に置き換えられるという形で,直接雇用されている正規社員の減少を進め,労働者全体の雇用の不安定化や,賃金の低下等の労働条件悪化という結果を招き,ひいては労働者の貧困を招く事態となりかねない。
したがって,本改正案は,雇用の安定を望む社会的な要請に明らかに反する内容である。
当会は,本改正案に強く反対し,本改正案の廃案を求める。
以上

2014年(平成26年)4月30日
福井弁護士会
会長  内 上  和 博

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