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声明・意見書

会長声明 2017年08月08日 (火)

地方消費者行政の一層の強化を求める会長声明

 当会は,2011年9月9日付「消費者行政の充実強化に対する国の支援のあり方に関する意見書」において,国に対し,地方消費者行政の充実強化に対する財政支援等を求めた。

しかるに,その後も高齢者の消費者被害・トラブルは増加の一途をたどっており,消費者行政による本格的な被害防止対策が求められている。

このような状況下,当会では,平成23年から福井県と福井弁護士会の契約に基づき,県内各地の消費生活相談員が担当弁護士に直接電話相談をすることで,被害防止・回復に向けた迅速な対応が可能となる体制を整えている。また,当会は,県内の消費生活相談員との事例検討会を毎月開催するほか,福井県消費生活センター及び福井県警生活安全部生活環境課の三者で,投資詐欺被害案件等に関する情報交換の場を定期的にもうけるなど,行政との連携体制を充実させている。

他方で,消費者行政の推進にあたっては財政的裏付が不可欠であるところ,福井県を初めとする財政規模がそれほど大きいとは言えない地方自治体がこれを単独で進めていくことには限度があり,国からの財政的支援が強く求められるところである。

そこで当会は,消費者行政の体制整備を一層推進するため,国に対し,以下の施策を求める。

 

1 地方消費者行政推進のための交付金の継続

 国は,地方公共団体の消費者行政の体制・機能強化を推進するための特定財源である「地方消費者行政推進交付金」の実施要領について,2017年度(平成29年度)までの新規事業に適用対象を限定している点を,2018年度(平成30年度)以降の新規事業に適用対象を含めるよう改正するとともに,消費者行政の相談体制,啓発教育体制,執行体制等の基盤拡充に関する事業を適用対象に含めるよう改正し,同交付金を少なくとも今後10年程度は継続すべきである。

 今後も,地域の消費者被害を防止する高齢者見守りネットワークの構築や消費者安全確保地域協議会の設置等の取組を進めていく必要があるところ,地方消費者行政の必要最低限の体制整備の確保には,国の財政支援の継続が不可欠だからである。

 

2 国の事務の性質を有する消費者行政費用に対する恒久的財政負担

国は,地方公共団体が実施する消費者行政機能のうち,消費生活相談情報の登録事務,重大事故情報の通知事務,違反業者への行政処分事務,適格消費者団体の活動支援事務など,国と地方公共団体相互の利害に関係する事務に関する予算の相当部分について,地方財政法第10条を改正して国が恒久的に財政負担する事務として位置付けるべきである。

地方公共団体が実施するこれらの事務は,国の事務の性質を有しており,全国的に影響する事項や地域格差を解消し最低限の水準を確保すべき事項といえるためである。

 

3 地方消費者行政職員の増員と資質向上

国は,地方消費者行政における法執行,啓発・地域連携等の企画立案,他部署・他機関との連絡調整,商品テスト等の事務を担当する職員の配置人数の増加及び専門的資質の向上に向け,実効性ある施策を講ずべきである。

今後の地方消費者行政においては,地方公共団体内の他部署との連携による高齢者見守りネットワークの構築や官民連携によるきめ細かな消費者啓発・見守りの実施が重要課題とされているところ,消費者行政担当職員が取組の中心的存在となって,コーディネーターの役割を果たすことが求められており,消費者行政担当職員の役割が,これまで以上に重要となっているためである。

 

 

2017年(平成29年)8月8日

 

福井弁護士会

 

    会長  川 村 一 司

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