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2019年11月07日 (木)

R1.8.29 悪質クレームへの対応は? 後藤正邦

Q.私は事業をしているのですが、言いがかりとしか思えないクレームを言ってくるお客様がいます。中には暴力団のように罵倒する方もいますし、暴力的でなくても内容的に無理なことを求めてくる方もいます。このような悪質クレームには、どのように対応すれば良いのでしょうか?

A.  事業者にとって、顧客等からのクレームは、サービスの盲点やミスを改善するきっかけとなる有益なものです。しかし、悪質クレームにお困りの事業者もふえてきたようです。

悪質クレームとは、正当な根拠の無い要求や、過大な要求をするもの、要求態度が暴力的であるなど社会的に見て著しく不当であるものなどを言います。

 クレーム対応で最も大事なことは、顧客が主張している「問題」が本当に起こったのかどうかを調査・検証することです。そしてそのためにも、主張されている問題状況について、いつどこで誰が何をした結果、どのような問題が起こったのか、そしてどのような対応を求めているのかを正確に把握して記録することが必要です。悪質クレームの場合、この主張そのものが段々過大になるという傾向が見られることもあります。

そして、本当に自社の商品等に何らかの問題があったのであれば、謝罪を含め、適切な対応を検討しましょう。ただし、この場合でも、土下座強要が犯罪として立件されたケースがあるように、社会的に許容される限度を超えて威圧的な態度を取ってくる場合などには、その方法・態度が違法だということもあります。従業員等を守るためにも、行き過ぎたクレーム態度にはきちんと抗議するなどの対応も必要です。

一方、主張されている「問題」がそもそもでっちあげなのであれば、その要求は毅然と対応を拒否しましょう。このような不当要求に屈するということは、他の正当な顧客の犠牲のうえに不当要求者が得をするということでもあります。味を占めてまたあなたの会社や他の事業者に対して悪質クレームを重ねることにもなりかねません。このような場合には、やはり警察に通報したり、弁護士に対応を相談したりすることも考えるべきです。

中小企業のお困り事に対応するために、弁護士会は、ひまわりほっとダイヤルという相談窓口も用意しています。詳しくは福井弁護士会のホームページをご覧ください。また、医療・介護・福祉関係の事業者の場合は、悪質クレーム等に備える弁護士保険もありますので、こういった保険の活用もご検討ください。

 悪質クレーマーが暴力団員等の場合は、反社会的勢力との関係を遮断するためにも、要求を拒否するだけではなく、一切の取引を解消しましょう。疑わしい場合には、警察や福井県暴力追放センターに問い合わせてみると良いでしょう。

 多様なクレームに適切な対応をして、健全に事業を成長させましょう。

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