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2018年08月10日 (金)

H30.5.10 弁護士になるには 西村和浩

Q:最近,テレビドラマで弁護士の活躍を見て,その仕事に興味がわきました。弁護士になるにはどうしたらいいのですか?知り合いには,法律を全部覚える必要があると言われましたがそうなのですか?

A: 弁護士になるには,現在では,①司法試験という国家試験に合格後に,②研修(司法修習と言います。)を修了する必要があります。

①司法試験は,毎年1回,5月に実施される試験で,マークシート式の択一試験と記述式の論文試験が課せられます。択一試験は,憲法や民法といった法について,5つの肢の中から正解を選択してマークするものです。論文試験は,六法(憲法,民法,刑法,商法,民事訴訟法,刑事訴訟法)及び選択科目(労働法や倒産法などの中から1科目を選択)について,設問に対する解答を論述するものです。試験は中休み1日挟んで約1週間にわたって行われるのですが,電車の遅延等のアクシデントの影響を受けないように試験期間中ホテルに宿泊する受験生も多いです(東京の場合,同期間中の試験会場周辺のホテル予約は半年前頃にはいっぱいになってしまいます。)。

この司法試験を受験するためには,現在では,法科大学院を修了していること又は予備試験と呼ばれる試験に合格していることが必要となります。

法律を全部覚える必要があるかという点については,よく尋ねられるのですが,試験のために全部覚えたという話は今までに聞いたことがありません。学校の国語の教師が国語辞書を丸暗記しているわけではないのと同じイメージだと思います。

合格発表は,9月に行われ,法務省の掲示板等の発表場所に合格者の受験番号が掲示されます。発表当日は,多くの受験生が発表場所を訪れ,TV中継なども来ており,さながら大学受験の合格発表のような雰囲気になります。発表から数日すると,合格通知が送られてきます(現在では,通知に司法試験の成績も記載されています。)。

また,②司法試験合格後の司法修習は,12月上旬頃から約1年間の期間にわたって行われます。まず,最初の1カ月間は,全員が司法研修所と呼ばれる場所で,今後研修を行っていくうえでの導入となる研修を受けます。次に,全国で裁判所,検察庁,弁護士の事務所等で研修を受けます。裁判所や検察庁での研修は,弁護士となった後は経験できない貴重な体験です。また,法律事務所での研修は,指導担当弁護士の下で様々な経験を積みます。私の場合は,裁判手続きを経た建物明渡し作業の現場に同行し,建物の鍵を開けたり中の荷物を搬出する現場に立ち会ったりしました。

修習の最後には,司法研修所に戻って,裁判,検察,弁護士に関する研修を受けます。この研修が終わると,司法修習生考試(通称,2回試験)という国家試験があり,この試験に合格すると,弁護士となる資格を得ることができます。2回試験の結果発表は,不合格者の番号のみが公表されるため,それまでの試験とは異なり,自分の番号がないことを祈りながら発表を待っていました。

なお,この司法修習中は,修習専念義務が課されており,基本的に仕事に就くことができません(士業の方が登録だけ残しておくこともできません。)。そのため,修習中の生活費をどうするかが問題となるのですが,この点に関しては,兼業が禁止され,かつ国から生活費(給与)の支払いもされなかった修習生世代(「谷間世代」と呼ばれています。)の救済が大きな問題となっています。

こうして合格発表から約1年3か月ほどの期間を経て弁護士となるのですが,弁護士となった後の日常につきましては,また別の機会にご紹介できればと思います。

司法試験の詳細については,法務省のホームページに掲載されていますので,そちらもご覧になってください。                      

以上

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