2018年05月14日 (月)
H30.2.14 勤務先の倒産 寺田昇市
Q 長年勤めてきた会社が,業績不振で事業を停止してしまいました。給与3ヶ月分が未払いとなっている他,もらえるはずの退職金もいただいていません。なんとかして,未払い給与と退職金を支払ってもらう方法はあるでしょうか。
A 雇用主が倒産した場合には,雇用主から支払いを受けることは難しいと言わざるを得ません。しかし,あなたの場合,国(独立行政法人労働者健康安全機構)が未払い給与や退職金を支払う制度である未払賃金立替払制度を利用できるかもしれません。
未払賃金立替払制度は,1年以上事業活動を行っていた雇用主が倒産したことにより賃金が支払われないまま退職した労働者に対して,未払賃金の8割に相当する額を立替払する制度です。ただし,立替払いを受けることができる総額は,あなたの退職時の年齢に応じて88万円~296万円の範囲で上限が設けられています。
なお,倒産には,大きく分けて法律上の倒産と事実上の倒産という2つの場合があります。法律上の倒産とは,破産や民事再生など,裁判所の手続により倒産する場合をいいます。この場合において,労働者が未払賃金の立替払を受けるには,未払賃金の額等について,破産管財人等による証明受ける必要があります。また,事実上の倒産とは,中小企業について,事業活動が停止し,再開する見込みがなく,賃金支払能力がない場合をいいます。この場合は,労働基準監督署長から事実上の倒産の認定を受けた上で,未払賃金の額等について確認を受ける必要があります。
いずれの場合でも,立替払の請求は,破産手続開始の決定等がなされた日または監督署長による認定日から2年以内に独立行政法人労働者健康安全機構に対して行う必要があります。その他,あなたが未払賃金立替払制度を利用できるか否かや,その手続方法等に不安がある場合には,労働基準監督署や,最寄りの弁護士までご相談ください。