2017年12月13日 (水)
H29.9.13 立憲主義ってなんだろう 岩本雄太
Q:最近,政権による憲法解釈の変更による集団的自衛権の容認や,それに関連する安全保障関連法案の成立が話題になった際に,「立憲主義」という言葉を耳にします。そもそも立憲主義という言葉の意味がよく分かりません。どうして,政権が憲法解釈を変更したことが「立憲主義」と関係あるのですか。また,私たちの日常生活に何か影響はあるのでしょうか。
A: 立憲主義とは,憲法が「国の権力を制限することによって国民の自由を守る」という考え方のことをいいます。多くの国民が安全で住みよい日常を送るために,誰かに権力(政治を行うために必要な力)を託して,私たちの支払った税金を使って事業を行ったりすることが必要です。しかし,歴史を振り返ると,権力を託された人や機関は,時に暴走をし,自分たちの利益のために権力を行使したり,自分に敵対する勢力を排除するために,権力を行使してしまったりしたことが多くありました。そこで,近代においては,どんな権力者であっても犯すことのできないルールとして憲法を位置づけることにしました。この考え方が立憲主義です。日本国憲法も,この立憲主義の考えを前提に作られており,その表れとして,日本国憲法は,国務大臣や国会議員,裁判官などに憲法尊重義務を課したにもかかわらず,私たち国民にはそのような義務を課しませんでした。
政治権力を一手に有する内閣による憲法解釈の変更は,本来,憲法に縛られるべき権力者自身が,自分のやりたい内容が「憲法違反だ」と言われないよう,自分に都合の良いように憲法の条文を読み替えてしまうという行為で,これはある意味で憲法を無視するに等しい行為です。
権力者が自分に都合の良いように憲法の意味を解釈して,憲法に縛られないようになると,憲法によって守られていた私たち国民の自由も,権力者によって簡単に制限されかねません。これからも,権力者による憲法の無視が横行しないよう,私たち国民がしっかりと政治権力を監視していく必要があります。