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2017年09月07日 (木)

H29.6.7 ごみ集積場輪番制 野条泰永

Q.私の自宅前の歩道上には,地域の自治会(私も加入しています。)が管理するごみ集積場が設置されています。集積場の悪臭やごみの飛散に悩んでいますが,集積場の移動を自治会に提案してよいものでしょうか。私が自宅に住み始める以前から存在する集積場なので,「分かっていて住み始めたでしょ」と反論される気がします。

A.地域住民が設置するごみ集積場の設置場所や管理方法については,これを直接規定する全国一律のルールは設けられていません。多くの地方公共団体では,地域住民で組織する自治会等が主体となり,行政の清掃担当部署とも連携したうえ,当該自治会等の内でごみ集積場の設置場所や管理方法を決定しています。

自治会等でごみ集積場の設置場所を決定する場合,ごみ集積場に近接する住民には,ごみ集積場に起因する悪臭やごみの散乱といった不利益面が集中してしまいます。もっとも,ごみ集積場を特定の場所に設置する以上は,住民間でごみ集積場との距離に差異が生じることは不可避です。ごみ集積場に近接する住民としても,悪臭等の不利益を一定程度では受忍しなければならないと考えられています(受忍義務)。

とはいえ,ごみ集積場に伴う悪臭等の被害を,特定の住民が受忍し続けなければいけないものでしょうか?

参考となる裁判例をご紹介します。横浜市の事例ですが,自宅に近接する場所に5年近くもごみ集積設置されたままであった住民が,ごみ集積場を順次移動させて住民持ち回りにする制度(輪番制)を自治会に提案したにも関わらず拒否されたため,輪番制に反対した住民を相手取ってごみ集積場へのごみ排出の差止めを求める裁判を起こしたというものです。東京高等裁判所は,この訴えに対し,原告となった住民が受けている悪臭やごみの飛散等の有形・無形の被害につき,輪番制を採用して住民間で被害を分け合うことが容易に可能であるのにこのような方策を拒否して特定の者にのみ被害を受け続けさせることは人格権に対する侵害として受忍限度を超えると判断し,原告の請求を一部認めたのです。

この裁判例の考え方からすれば,特定の住民だけにごみ集積場の悪臭等が集中しないよう,輪番制等の方策を自治会に提案することは妥当な提案といえるでしょう。ごみ集積場の存在を認識したうえであなたが現在の住居に居住したという事情があっても同様です。

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