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2017年07月12日 (水)

H29.4.12 遺言能力 小池麻里子

Q 私は、現在82歳です。最近物忘れが酷くなり,医師から認知症の疑いがあると告げられました。以前から相続が円満に済むように遺言を作りたいと思っていたのですが,認知症になったらもう遺言を作ることはできないのでしょうか。

 

A 有効に遺言を行うためには、①遺言する本人(遺言者)が満15歳以上であること、②遺言当時に,遺言することの意味や内容を理解できる程度の判断能力(遺言能力)を有すること、という2つの条件を満たすことが必要です。

ご質問の場合、ご自身に遺言の内容を理解できる程度の判断力があれば遺言は可能です。認知症だから遺言が作れないということはありません。

ただし、認知症の疑いがある状態で遺言を作成した場合、将来的にその遺言により不利益を受ける相続人から、「判断能力がなかったから遺言は無効だ」などと主張される可能性を否定できません。遺言者が認知症に罹患していたために遺言の有効性が裁判で争われるケースは現実にも多くあります。

このような事態を防ぐためには、遺言者が自分の意思で遺言を作成したという証拠を残すよう、心がける必要があります。例えば、遺言を作った理由や気持ちなどを遺言に書いておく、親族や信頼できる友人に遺言をしたことを予め伝えておく、日記に遺言をした事実を書いておく、などが考えられます。遺言を行う前に医師の診断を受けて、ご自身の認知症の進行度合いを確認しておくことも大切です。

なお、遺言には、遺言者自身が自筆で書く「自筆証書遺言」と、公証人という法律専門家の関与のもとで作成する「公正証書遺言」の大きく2種類があります。自筆証書遺言は、形式面で細かいルールがありますので、判断能力に不安のある場合は、弁護士に相談する、公正証書遺言を利用するなど、法律専門家のアドバイスを受けながら遺言を作成されることをおすすめします。

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