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2018年01月19日 (金)

H29.10.19 社長の引退について 紅谷崇文

Q 私は、自分で起こした小さな株式会社を経営していますが、70歳を超えて妻にも先立たれ、引退を考えるようになりました。一人息子は県外で暮らし別の仕事をしていて跡を継ぐつもりはありません。長年うちで働いていた社員に社長を任せようかと漠然と考えています。何か問題が生じるのでしょうか。

 

A 社員を社長にして、あなたが引退するにも、いろいろな方法があります。

まず、あなたが株主としての地位を残したまま社員を社長とする方法があります。これは、株主に変更はありませんので、対外的な信用を大きく損なうことなく手続きを進めることができます。しかし、この場合、あなたは株主として会社の経営に関与することになりますが、日常的な業務を行う必要は無くなります。さらに、将来、あなたが亡くなった場合、相続で株式を取得するのはあなたの息子さんになります。新社長との関係にもよりますが,株主としての経営関与はもちろん、実質的に会社に入ることも可能なので,選択肢は広がるものと思われます。

また、株式を社員に売却してしまうという方法が考えられます。この方法であれば、その社員が株主兼社長になるので、あなたは完全に経営から離れることができ、将来息子さんが株主になることもありません。しかし、これまであなたの信用でやってきた事業を社員に任せることに金融機関や取引業者がどう対応するかはわかりませんので、ちゃんとした引き継ぎは必要と思われます。また、株式の売買代金を社員が用意できることが前提になります。

このような事業承継には,様々な方法があり,会社ごとにどのような方法がいいかは,専門的な判断が必要になる場合も多くありますし,スムーズな事業承継には準備や時間がかかるものです。早めに弁護士などの専門家に相談されることをお勧めします。

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