2016年08月03日 (水)
H28.8.3 日照権 笠原一浩
Q 隣に高層マンションが建築中で、このままだと昼間でも家がマンションの陰になってしまい、洗濯物も乾かなくなりそうです。マンション会社に何か言えないでしょうか。
A 隣地の日照を確保するために、建築基準法では斜線制限や日影規制によって、建築物の高さを制限しています。
斜線制限とは、採光や通風などに支障を来さないように建築物の各部分の高さを規制したもので、いくつか種類があります。日照権の確保において特に重要なのは北側斜線制限(建物の北側にできる影の制限)です。また日影規制とは、建物を建築する場合にその隣接地に及ぼす日影時間を規制するものです。
もし、これらの規制に違反して、日影によって、家に太陽の光があたらなくなってしまうなどの不利益を蒙るような場合には、建築主に対し、工事の差止めと損害賠償請求をすることができます 。
また、斜線規制に違反せず、また日影規制に該当しない場合にも、場合によっては日照権の保護が及ぶことがあり、被害者が受ける不利益が社会生活において我慢できる限度(受忍限度といいます)を超えていた場合は、建築者に対する工事の差し止めと損害賠償が認められます。具体的には、不動産業者から、良好な眺望ないし日照がセールスポイントだと言われて宅地を購入したにもかかわらず、同じ不動産業者が、斜線規制・日影規制に抵触しない程度の高層建築物を建てたことによって日照が阻害されてしまった場合や、日影規制対象外の地域にもともとあった住宅が、あまりにも高い建築物によって日影が遮られてしまったような場合などが考えられます。
また、これから建物が建つような場合には、仮にあなたの土地が日影規制に該当しないような場所であっても、日影図等を参考にして出来るだけ日照権を確保してもらうよう隣地の所有者や建設業者と交渉することが必要です。
いずれの場合も、専門家である業者と交渉するには法的な知識を要しますので、弁護士(会)にご相談することをお勧めします。