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2016年07月06日 (水)

H28.7.6 高額図書の不当な購入要求の対応について 川村一司

Q 会社の支社長を務めています。政治団体を名乗る団体から,数万円もする団体発行の図書についてしつこく購入要求があり,つい会社の経費で購入してしまいました。私の対応に何か問題はなかったでしょうか。

 

A このような事案に対処してきた弁護士の経験から言えば,一度要求に応じてしまうと,なぜか,別の団体から同じような購入要求が来ることとなります。さらに,次から次といろいろな団体から連絡が来るようになり,気が付くと,全く不要な図書を何冊も購入してしまったということになりかねません。こうした高額な図書の購入要求や,あるいは各種の新聞雑誌の購読要求は,反社会的勢力の資金獲得活動の一環である可能性があります。

もとより,いくらしつこく要求されたとしても,購入する法的義務がないのは当然のことです。明確に断ってもなお執拗に要求する行為は典型的な不当要求に該当するものと思われます。それでも購入してしまうのは,このままでは業務に支障が生じかねないという心配や,あるいは部下や家族に何が起こるか分からないという恐怖心もあってのことでしょう。

しかし,冷静に考えてみると,業務上必要もない図書を会社の経費で購入することはそれ自体に問題がありますし,一度購入してしまうとそれだけでは済まないことが多く,脇の甘い会社と見られてより大きな不当要求を呼び込むことになりかねません。そして何よりも,結果として反社会的勢力に対して利益供与することになりかねないことから,あなたの会社自身が反社会的勢力と親密な関係にあるものと見なされて,大事な取引先から取引を打ち切られるような事態が生じないとも限りません。

最初の段階で不要なものは不要であると毅然と対応することが肝要ですが,それでも執拗に要求があるような場合や既に関係を持ってしまった場合など,対応に少しでも不安があれば,迷わず専門機関である暴追センターや弁護士会に相談することをお勧めします。

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