2016年07月14日 (木)
H28.7.14 B型肝炎訴訟について 野条泰永
Q.病院で,「あなたはB型肝炎ウイルスの持続感染者です。」と言われました。B型肝炎ウイルス患者に給付金が支給されると新聞で見たことがありますが,どんな制度ですか?
A.B型肝炎ウイルスは,慢性肝炎,肝硬変,肝がん等の疾患を引き起こすおそれがあるウイルスです。日本全国で約110~140万人もの人(概ね100人に1人の割合)がB型肝炎ウイルスに持続感染していると推計されています。
日本でこれほどまでにB型肝炎ウイルスの感染が拡大した1つの要因に,かつて乳幼児に対する集団予防接種において注射針・注射筒が使い回されたことがあるとされています。
本来,集団予防接種をつかさどる国は,B型肝炎ウイルス等の感染を防止するため,注射針・注射筒の使い回しを禁止する義務がありました。ところが,昭和63年に至るまで,集団予防接種での注射針・注射筒の使い回しは禁止されず放置されたのです。
平成23年になって,国は,集団予防接種によってB型肝炎ウイルスに感染した方々に対し,注射針・注射筒の使い回しによる感染を招いたことに関する法的責任を認めて謝罪し,これらの方々へ病状に応じた給付金を支給することを法律で定めました。
B型肝炎ウイルス患者に対する給付金は,「幼少期の集団予防接種」が原因でウイルスに持続感染した患者さん,あるいはその患者さんから母子感染したお子さんに支給されます(これらの方々が亡くなっている場合は,ご遺族に支給されます。)。反対に,集団予防接種以外の他原因でB型肝炎ウイルスに感染したことが明らかな場合は,給付金は支給されません。
給付金の支給要件や給付額,必要資料等の詳細は,厚生労働省のホームページ上で公表されています。給付金の支給対象となる場合,国を相手取って裁判を起こしたうえで,病状に応じた給付金を受け取ります。
相談者の方が給付金の対象となるかどうかは個別具体の判断になります。まずは厚生労働省のホームページをご覧いただいたうえで,福井弁護士会にご相談ください。