2016年06月08日 (水)
H28.6.8 保釈について 中村淳
Q 社長が警察に逮捕されてしまったのですが、1か月後に重要な取引があって、社長がいないととても困ります。社長は今後どうなるのでしょうか。また、「保釈」という制度があることを聞きましたが、それはどういうものですか。
A 罪を犯したと疑われて、警察に逮捕された場合、逮捕から最大で23日間、警察署や刑務所等から出られなくなります。その期間に、検察官が、裁判にかける意味の「起訴」をするかどうか決定し、起訴した場合には、判決が出るまで、警察署や刑務所等に拘束されたままになります。実刑判決が出た場合には、高等裁判所に控訴しないと、そのまま刑務所に行くことになります。
もっとも、起訴された後、判決が出るまでの間、裁判所に対して一定のお金を預けることで一旦社会に戻るという「保釈」を求めることができます。あくまで、判決が出るまでは、罪を犯したかどうかわからない状態であるので、保釈という制度が認められています。しかし、実際には、裁判所が、罪の重さや逃亡の恐れ、一旦社会に戻る必要があるのかということなどを考慮して保釈するかどうか決めますので、絶対に保釈が認められるわけではありません。また、裁判までに逃亡したり、証拠を隠したりしないようにする担保として、保釈金を裁判所に納める必要がありますが、保釈金の額は、起訴された人にとって取り上げられると困るくらいの金額になります。そのため、どのような事件でも、100万円以上は必要となり、起訴された人の資産が多ければ、相当高額になることもあります。なお、保釈金は、判決まで裁判所が決めた約束事を守り、きちんと裁判に出頭した場合には、全額返還されます。
今回のケースでは、重要な取引の前に、起訴されるかどうか決まるので、もし、起訴されたのであれば、保釈を求めることが考えられます。また、保釈を求める場合には、社長がいないと仕事上大きな問題があるということで、保釈の必要性が高く、認められやすくなると考えられます。もっとも、犯した罪が重いものであれば認められないこともありますし、保釈金は相当高額になる可能性があります。なお、保釈を求める手続きは、簡単ではないので、事件を担当している弁護人とよく相談してください。