2016年04月28日 (木)
H28.4.28 消滅時効と時効中断 佐藤孝一
Q 長年おつきあいのある業者さんで、未払いの売掛金がだいぶ溜まっています。請求書はずっと送っていて、業者さんからは『払う、払う』と言われていますが、一向に払ってくれません。ちゃんと、未払分を回収することはできるのでしょうか?
A 売掛金は、請求できるのに一定の期間請求しないと、請求できなくなります。消滅時効という制度です。
この「一定の期間」は、原則10年ですが、商行為によって生じたものは5年、工事代金等は3年、機械等の修理代等は2年となる可能性があり、特別に短くされている場合もあるのです。
では,そうやって時効にかからないためにどのようなことをすればいいのでしょうか。この「時効期間」には、それまで経過していた時効期間がリセットされる「中断」という制度があります。放置していると消えてしまうわけですから,放置していないといえる場合に「中断」が認められることになりますが,一般的なのは「請求」と「承認」という方法です。
「請求」とは、単に請求書を相手に送るだけいいと誤解されがちですが、訴えを起こすことが必要となります。裁判での請求でなければならないのです。ただ,いきなり訴訟を起こすことは大変ですので,時効になりそうな場合に,「催告」という方法によって6ヶ月だけ時間を稼ぐことも出来ます。
「承認」とは,単純には,支払わなければならない人が,支払わなければならないことを自ら認めることです。これは,時効になってからでも,認めてしまうと,時効だから払わなくていいということを言えなくなる可能性があります。支払を求める側からは、「承認」はとても有利なことですが,支払を求められる側からは,とても危険なことといえます。一部だけを支払った場合には,残りの支払ってない部分について「承認」したとされてしまいますので,軽率な一部支払も危険な行為といえます。
未収金に心当たりのある業者の皆様は、請求書を送っているからと安心せず、まず未収金の名目、納品日や支払期限をよくご確認下さい。