2016年04月13日 (水)
H28.4.13 取引基本契約書 後藤正邦
Q 私は、小さいながらも機械部品の会社を経営しています。最近になって、長年取引のある大阪の企業から、今後の取引のために取引基本契約書を結んで欲しいと言われました。先方から送られてきた契約書は、見たところちゃんとしたもののようなので、ハンコをついて返せば良いでしょうか。
A 結論から言いますと、内容を吟味しないままに、相手会社から送られてきた契約書にハンコをついてしまってはいけません。
取引基本契約とは、発注・受注をくり返し合うような関係の企業の間で、それらの取引に共通する処理のしかたや、何か問題が起こった場合の解決の方法を定めておくものです。
この中には、発注・受注は必ずファックスで行うというように、比較的事務的なものも含まれていることがありますが、取引関係を終わらせる際のルールや、トラブルになってしまったときの損害賠償のことなど、大事な法的問題の取り決めが含まれているのが通常です。
そして、相手会社から最初に出てくる契約書の第一案は、こうした大事な問題点について、相手会社に有利な内容、つまり、あなたの会社にとっては厳しい内容になっていることが少なくありません。特に、相手会社に契約のノウハウがある場合や、相手会社の方が発注者側である場合などは、そういう傾向が強くなります。
例えば、相手会社の方から来月にでもあなたの会社との取引を打ち切れるとか、あなたの会社の製造販売する部品に問題があったときには、多額の損害賠償ができるとかいった契約を結んでしまったら、いざというときに、大変な負担があなたの会社に重くのしかかってくることが分かると思います。
契約をするときは、お互いが納得できる内容になるように、きちんと話し合いをすれば良いのです。あなたの会社ばかりが不利になることが無いように、しっかりと検討して、要求すべきことは相手会社に要求しましょう。
また、契約書には、どうしても難しい言葉が並ぶことが多く、よく検討してみても、問題点があるかどうかが分からないということもあると思います。そのような不安がある場合は、ともかく一度、契約の専門家である弁護士に相談してみることをお勧めします。