2016年01月28日 (木)
H28.1.28 辞職トラブル 諸隈由佳子
Q 私は,期間の定めのない正社員として勤務していますが,辞職を考えています。会社の就業規則には,2週間前の予告期間が必要との規定があったので,2週間前に,上司に会社を辞めたいと申し出たところ,上司から「辞めるのであれば,損害賠償請求をする。」と言われてしまいました。いくらか支払わなければならないのでしょうか。
A まず,期間の定めのない労働者からの辞職は,法律上,原則として2週間前の予告をすれば自由であり,使用者の承諾は必要ありません。会社の就業規則に使用者の承諾が必要と定められていても,その就業規則の規定は無効です。
今回の事例では,あなたが辞職することによって,どのような損害が生じ,それがいくらの損害になると会社が主張しているのかが全く分かりません。ですので,まずは上司に,その点を具体的に確認することが必要です。それを確認せずに,損害賠償に応じるとか,給料から賠償金を天引きしても構わない等と回答しないように注意してください。
一般的に,辞職すること自体で,損害賠償を請求されても容易には認められないと思われます。しかしながら,労働者が辞職を申し出たとたん,過去の労働者の仕事上のミスを理由に,損害賠償を請求されることもあります。この場合,損害賠償請求が認められるかどうかはケースバイケースとしかいいようがありませんが,原則として,労働者の些細な不注意があって損害が生じても,仕事の性質上,そのような損害が一定の確率で発生するような場合には,損害賠償義務は生じないものと考えられます。
上司から「辞めるのであれば,損害賠償請求をする。」と言われても,毅然として対応することが重要です。不安があれば,弁護士にご相談ください。