2016年01月20日 (水)
H28.1.20 相続判断 前波裕司
Q 親が最近亡くなったのですが,財産も借金も両方あるみたいです。少なくとも,借金は引き継ぎたくありません。どうすればいいのですか?
A 財産の方が多ければ相続し,借金の方が多ければ相続放棄するというのが通常と思われます。相続放棄は,原則として亡くなってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申請しなければなりませんが,放っておけば相続したことになります。ただ,財産は評価によって額が変わりますし,不明な場合も生じると思います。
そのような場合について,限定承認という制度があります。財産を処分して,多かった場合は相続する,というものです。しかし,手続がなかなか大変なこともあり,あまり利用されていません。
この場合,決め手となる方法があるものではありません。状況によって判断することになりますので,相続放棄もできる死後3ヶ月以内の早い時期に弁護士に相談して頂きたいと思います。慎重な判断が必要となりますので,時間の余裕が欲しい場面です。
そして弁護士の側では,借金の整理をする一方で,財産をお金に換える方法をうまく行うことにより,財産が残せるかどうかを探ることになります。相手方や財産の性質など様々な側面から判断することになりますし,場合によってはそれ以上の財産や借金がないか調査する必要も出てきます。ここでも,時間の余裕が必要となります。
さらに,微妙な場面では,借金の相手側との協議により判断する場面も出てきます。
このようなことを3ヶ月以内にできるのか,という疑問も出てきますが,場合によっては,事情を説明して相続放棄の期間を延ばす制度もあります。相談が遅れた場合には,この制度を利用することになると思います。
いずれの場面でも,専門的な判断を要する場面ですので,本件のような場合には,できるだけ早く弁護士に相談すべきです。故人の大事な財産を生かすためにも,面倒がらずに相談して頂きたいと思います。
以上