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2016年01月14日 (木)

H28.1.14 遺言作成 前波裕司

Q 遺言は,書いた方がいいのでしょうか。特に財産もないし,子供たちが争うこともないと思います。遺言は,財産でもめる可能性のある人が書くものではないのですか?

 

A 遺言で故人の意思を示しておくことは,相続の争いを防止するために有効なのは言うまでもありません。遺言そのものの有効性を争わない限り,相続人間の争いは生じなくなります。

相続する人たちの間で争う気配がなければ,遺言は意味がないのでしょうか。

経験上,相続の争いは,争う気配がなくとも生じます。相続財産についての認識が故人と一致しているとは限りませんから,財産の状況を見て気が変わることがありますし,周囲の意見の影響を受けたりすることは多々あり,相続人の死亡後に争い始めるケースは少なくありません。争わせないためにも遺言は必要と思います。

では,財産の量によって遺言の必要性は変わるでしょうか。

相続の争いは,財産そのもので争うというより,故人の存命中には抑えられていた過去の事柄について争う場面でもあります。ですので,なくなった方は想像できないような争いを財産争いの形で行うに過ぎない場合もあるので,財産の量はあまり関係ないことも多くあります。

遺言の利点は,争いを防止するだけではありません。

死後の手続について予め決めることもできますし,預金の払い戻しをはじめとする様々な手続が非常に簡便になります。遺言がなければ,相続協議書等が必要になりますが,そのような手間を避けるなどのメリットは相当に大きいと思います。

相続の争いは,互いの人格攻撃に発展しやすいですし,非常に長期に及ぶこともあります。遺言を書いた方がいいという結論は,家族構成や財産の状況にかかわらず揺るがないものと思われますので,書き直すことは自由ですし,是非とも書いて頂きたいと思います。

以上

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