2016年07月28日 (木)
H28.7.28 再雇用後の給料 井上毅
Q 私は食品販売会社で営業店の店長として勤務しています。今年の9月に満60歳の定年を迎えます。定年後も引き続きこの会社で働くことを希望しており、会社からも「引き続き店長として働いてほしい」と言われています。しかし、定年後は、1年ごとの有期契約となり、基本給は現在の約半分になり、店長としての職務手当やボーナスもなくなるそうです。定年後の再雇用とはいえ、引き続き店長として働くのに、条件がこんなに下がるのは納得できません。
A 労働契約法は、有期契約社員と正社員の間に不合理な労働条件の相違を設けることを禁止しています。そしてこのルールは、定年後の再雇用契約にも適用されます。ですから、正社員と仕事の内容などが何ら変わらないのに、定年後の有期契約社員について給料の額に大きな差異を設けることは、不合理な労働条件の相違として違法・無効となる可能性があります。
ただし、同じ仕事なのに給料が下がるというだけで「不合理」と決めつけることはできません。「不合理な相違」かどうかは、仕事の内容だけでなく、責任の重さの違い、異動や転勤の範囲、その他の労使慣行を考慮して判断されます。実際には、定年後の再雇用の場合には、責任の重さや労働時間、残業の有無など働き方に違いがあるために、給料に格差があっても「不合理」とは言えない場合が多いでしょう。
したがって、あなたの場合も、右の事情だけで一概には判断できません。会社との間で、再雇用後の労働条件について詳しく確認してみてください。もし再雇用後の仕事の内容、責任の重さ、異動や転勤の範囲、労働時間、残業の有無などの労働条件が正社員の店長と全く違いがないのであれば、基本給半額、職務手当もボーナスもなしという著しい格差は、やはり「不合理」と判断される可能性が高いと思われます。