2019年11月07日 (木)
H31.4.18 悪徳業者から家族を守るには? 麻生英右
Q: 私は,結婚して県外で暮らしています。先日,久しぶりに一人暮らしの母親(80歳)を訪ねたところ,見慣れない高級羽毛布団や浄水器が購入されていました。母親にどうしたのかを尋ねても,教えてくれません。母親は,物忘れも増えてきており,今後も悪徳業者に騙されないか心配です。どうしたらよいでしょうか。
A: 悪徳業者は,判断能力が低下し,お金をもっている高齢者を明確なターゲットにしています。悪徳業者は,高齢者の三つの不安,すなわち,①減少する一方の「お金」,②年々衰えていく「健康」,③話し相手がいない「孤独」に付け込み,組織的にお金をだまし取ろうとします。
そして,いったん被害にあってしまうと,ご本人は「家族にわかると責められる」,「恥ずかしい」などと考えて誰にも相談しないことも多く,被害が潜在化しがちです。また,家族が被害に気が付いたとしても,加害者が分からなかったり,連絡がとれなかったりするなど,被害回復が困難なこともあります。
高齢になり判断能力が低下しているご家族を悪徳業者から守るためには,被害にあわないように予防すること,被害を早期に発見して被害の拡大を防ぐことが最も重要です。
具体的には,ご家族が介護保険サービスや自立支援サービス等の福祉サービスを利用している場合,支援者の方が不審な点に気が付いた際に消費者センターに相談する「見守りネットワーク」を構築することが考えられます。また,成年後見制度等を利用して財産管理をご親族や第三者に委ねることも有効です。そのほかにも,写真や動画撮影ができるインターホンの設置や,「この電話は振り込め詐欺等の犯罪被害防止のため自動的に録音されます」とアナウンスで警告する通話録音装置(自治体によっては無料で貸し出しています。)を設置したりすることも効果的です。
悪徳業者から大切なご家族を守るために,今一度,対応策を考えてみてはいかがでしょうか。詳しくは,お近くの消費生活センターや弁護士にご相談ください。