2016年09月28日 (水)
H28.9.28 障がい者虐待対応 市川亮平
Q 私の弟は,軽度の知的障がいがあり,グループホームで生活しています。先日,弟に会って話をしたとき,弟から,他の利用者からいじめを受けているという訴えを受けました。弟の顔を見ると,殴られたようなあざがありました。どうしたらよいでしょうか。
A ご相談のケースでは,弟さんが虐待を受けているおそれがありますので,市町村に障がい者虐待防止法に基づく措置を求めるのがよいでしょう。
同法は,障がい者の養護者,施設やその職員,雇用主による虐待を防止するため,自治体等がとるべき措置について定めた法律です。同法にいう「虐待」とは,身体的虐待(暴力,監禁など),ネグレクト(放置),心理的虐待(暴言,差別的取扱いなど),性的虐待(わいせつな言動),経済的虐待(金銭搾取など)をいうとされています。
そのため,仮に弟さんへのいじめに職員も加わっているのであれば,身体的ないし心理的虐待に当たり,そうでなくてもいじめの事実を知りながら放置していた場合は,ネグレクトに当たる可能性があります。
虐待を発見した者は,市町村に通報しなければならず,これを受けた市町村は,施設に報告をさせたり,施設等への立入調査を行うなどして事実調査を行い,虐待がないか施設を監督します。また,都道府県は,改善に向けた指導や命令を行います。重大な事案では,施設の事業を制限したり,停止させたりもします。さらに,虐待があった施設の公表も行います。
通報者の秘密は守られますので,報復のおそれ等を心配する必要はありません。
なお,これらの虐待は,程度によっては不法行為や暴行・傷害などの犯罪に当たる場合もあり得ます。
障がい者に対する虐待は,障がい者に虐待であることの認識が薄く,訴えが出にくいため,周りの人の見守りや気付きが重要になります。