2016年06月22日 (水)
H28.6.22 個人再生手続 安田奈津希
Q.私は住宅ローンを支払っているのですが、最近父が3000万円もの借金を残して亡くなりました。私は父の借金の連帯保証人になっているため、相続放棄をして借金を免れることもできません。今まで頑張ってローンを払ってきたのに、私達家族は父の借金のために自宅を失わなければならないのでしょうか。
A.個人再生手続を利用することによって、①住宅ローン以外の借金(債務総額5000万円以下)を減額して分割払いにしてもらい、かつ、②住宅ローンは支払い続けて自宅に住み続けられることがあります。
個人再生とは、簡単に言うと、裁判所に借金を減らしてもらい、その代わり減らしてもらった金額を分割で原則3年以内に返済するという法的手続です。減らしてもらえる額は借金や資産の額によって異なりますが、借金が3000万円であれば最低でも300万円返済しなければなりません。
そのため、自己破産の場合と異なり、安定した収入がなければなりません。個人再生を行うと官報への掲載や信用情報への登録がなされ、一定期間は新たな借り入れができませんから、収入の範囲内で生活し、住宅ローンと借金の返済もしければならないのです。また、これが可能であることを裁判所に示すため、数ヶ月間の家計収支の記録が必要ですし、将来の月額返済額と同額の積立を行うこともあります。個人再生を成功させるには家族の理解と協力が欠かせないでしょう。
なお、住宅ローンの支払自体についても、例えばボーナス払いをやめて毎月の支払額に上乗せする等の条件変更ができることもあります。
しかし、自宅や敷地が住宅ローン以外の借金の抵当に入っている場合や住宅ローンを長く滞納している場合等、事情によってはこの手続を使えないことがあります。住宅ローンが払えなくなってしまう前に、ぜひお早めに弁護士にご相談下さい。