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ジュニアロースクール福井 2020年12月25日 (金)
第4講 「わらしべ長者」で考える 取引のルールや考え方
「わらしべ長者」で考える
取引のルールや考え方
「わらしべ長者」では、主人公と、出会った人が自分の持ち物を次々に交換していきます。
ところが、もし、交換した物をめぐって後からトラブルになったら?
予想してなかったトラブルにまきこまれた主人公や登場人物を、あなたならどうやって助けてあげますか?
この問題に取り組む前に、まずは、進行役の弁護士からのメッセージを見てください。(映像:約3分40秒)
それでは、「わらしべ長者」のお話がどのような内容だったのか、次の動画を見て確認しましょう。
第1幕 わらしべ長者 (映像:約9分20秒)
はい、「わらしべ長者」のお話は分かりましたね?
さて、そんなわらしべ長者のもとに、トラブルが起こり始めます。
次の劇を見てください。
第2幕 もしも…その1 お殿様がやってきちゃったら… (映像:約2分)
わらしべ長者が、お侍さまと交換して手に入れた馬は、実はお侍さまの物ではなく、お殿様の物でした。
お殿様は馬を返せと言いますが、もともとの馬の持ち主であったお殿様と、自分の持ち物(反物)との交換で馬を手に入れたわらしべ長者、どちらの立場を守ってあげるべきでしょうか。
また、自分だったら、このトラブルをどのように解決したら良いと思いますか?
①まず、自分でじっくり考えて、自分の考えを、どうしてそう思うかも含めて、
ワークシートに書きましょう。(目安時間:3分)
②(2人以上の場合)自分の考えをワークシートに書いたら、その意見をお互いに
発表しあって、ほかの人の考えを、ワークシートに書きましょう。(目安時間:5分)
③みんなの意見が出つくしたら、次の動画を見ましょう。
【もしも・・その1】グループ発表・弁護士コメント (映像:約6分10秒)
さて、では、次のトラブルを見てみましょう。
第3幕 もしも…その2 ほかにも屋敷をゆずり受けた人が
出てきちゃったら… (映像:約2分30秒)
わらしべ長者は、3年間、苦労して留守を守ってお屋敷を手に入れたはずでした。
ところが、そのお屋敷を元の家主から買ったという人が現れました。
二人とも、元の家主との約束で屋敷を手に入れたと思っているようです。
お金を出してもともとの家主から屋敷を買った人と、3年間屋敷を守って約束どおり屋敷を手に入れたわらしべ長者、どちらの立場を守ってあげるべきでしょうか。
自分だったら、このトラブルをどのように解決したら良いと思いますか?
①じっくり考えて、自分の考えを、どうしてそう思うかも含めて、
ワークシートに書きましょう。(目安時間:2分)
②(2人以上の場合)自分の考えをワークシートに書いたら、
その意見をお互いに発表しあって、ほかの人の考えを、
ワークシートに書きましょう。(目安時間:5~8分)
③ みんなの意見が出つくしたら、次の動画を見ましょう。
【もしも・・その2】グループ発表・弁護士コメント (映像:約5分20秒)
第4幕 もしも…その3 家のあるじが戻ってきちゃった… (映像:約2分)
わらしべ長者が、3年間、苦労して留守を守ってお屋敷を手に入れたと思ったら、3年を過ぎてから、元の家主が戻ってきてしまいました。
約束通りなら、屋敷はもうわらしべ長者の物となっているはずですが、家主も、自分の物だと言ってゆずりません。
約束の3年間屋敷を守ったわらしべ長者と、3年過ぎてから戻ってきた家主、どちらの立場を守ってあげるべきでしょうか。
①じっくり考えて、自分の考えを、どうしてそう思うかも含めて、
ワークシートに書きましょう。(目安時間:2分)
②(2人以上の場合)自分の考えをワークシートに書いたら、
その意見をお互いに発表しあって、ほかの人の考えを、
ワークシートに書きましょう。(目安時間:5~8分)
【もしも・・その3】グループ発表・弁護士コメント (映像:約6分10秒)
「わらしべ長者」の物語は、以上です。
最後に、この授業のポイントをおさらいしましょう。
(ポイント1)
社会において、物をゆずる、売る、といった約束を「契約」といいます。例えば、私たちが生活のなかで何気なく行っている「買い物」の裏には、実は「100円で買う=お金を払う」「100円で売る=品物を渡す」という「契約」があります。
(ポイント2)
人から買ったりゆずってもらったりして(契約で)手に入れた物については、その物を所有する権利が守られています。この「所有権」は、原則として誰に対しても主張することができます。
しかし、相手を信頼してその物を買ったにもかかわらず、後になって他の人からその物を取り戻されてしまったら、安心して取引をすることができなくなってしまいます。このような場合、相手を信頼して取引した人を守ってあげる必要もあるかも知れません。
(ポイント3)
もともとの所有者を守る方が良いのか、それとも、新たに手に入れた人の方を守る方が良いのかということは難しい問題であり、一律に答えが出るものではありません。
本問の場合は、名札をつけていたかどうか、名札の確認をしたかどうかなどの事情を考えて、より公正な結論が出せると良いでしょう。
(ポイント4)
割と簡単に、また頻繁に取引できる反物や馬など(動産)と、より高価で、そんなに頻繁に取引されることのない土地や建物(不動産)とでは違った考え方や取り扱いが必要だと考えられています。
わが国では、動産の取引の場合は、売り手を信頼して品物を手に入れた人の方を守るような仕組みになっています。また、不動産取引のトラブルを防ぐ手段の一つとして、誰でも不動産の持ち主を調べられる仕組み(不動産登記制度)があり、実際にトラブルが起こったときの解決の基準にもなっています。
(ポイント5)
契約をした人は、お互いに、相手が約束を守ることを期待しますから、互いにその契約で決めたことを守られなければなりません。
契約の内容については、本当は、将来のことまでよく考えて、細かな点まできっちり決めておくことが望ましいです。
(ポイント6)
細かな点まで契約で決めていないときにトラブルが起きてしまった場合は、どんなことを考えて契約したのか、どういう内容であれば当事者にとって公平といえるかを考えて、そのトラブルを解決することになります。
また、もし、契約の内容をそのまま認めるとあまりに不合理・不公平な結果となる場合には、契約の内容を修正することが有益なこともあります。
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