弁護士の活動

声明・意見書

秘密保護法の採決強行に抗議し,同法の改廃を求める会長声明

1 2013年12月6日,参議院本会議において特定秘密保護法案の採決が強行され,同法が制定された。
 当会は,再三にわたる意見書や会長声明の中で (※1),同法案が,国民の知る権利を侵害し,国民主権原理の根幹を脅かし,罪刑法定主義にも抵触し,秘密に関与する関係者のプライバシーを侵害するなど,日本国憲法の基本原理に照らして看過しがたい重大な欠陥をもつものであることを強く訴え,その廃案を求めてきた。日本弁護士連合会も,同様の立場から同法案に強く反対してきた。
 当会や日本弁護士連合会のみならず,同法案の提出後,同法案に反対する世論は急速に高まり,報道,研究,映画界等様々な分野から廃案を求める意見が出され,また国際的にも強い危惧が表明されてきた。
2 こうした,重大な憲法上の欠陥をもつ法案が,各界から表明された強い反対や国民多数の廃案ないし慎重審議を求める声を無視して,国会への法案提出からわずか1か月半も経ぬごく短期間のうちに,衆参両議院での相次ぐ強行採決により成立に至ったことは,極めて異例であり,国会の存在意義すら疑わしめる暴挙というほかなく,当会はこれに強く抗議する。
 国会審議中になされたいくつかの法案修正によっても,同法のもつ憲法上の欠陥は何ら解消されておらず,公布の日から1年以内に予定される同法の施行により,国民の基本的人権が侵害され,国民主権原理が形骸化し,行政に対する国会や裁判所によるチェック機能が弱まるなどの重大な弊害が生じることが,強く懸念される。
3 よって,当会は,重大な憲法上の欠陥をもつ同法について,その改廃を求めてひきつづき活動する決意である。
 あわせて,国民主権原理の機能確保のために不可欠な情報公開制度・公文書管理制度の改正,特定秘密保護法の有無にかかわりなく整備されるべき情報管理の適正化のための制度策定に向け,全力を尽くすことを誓うものである。

2013年(平成25年)12月18日
福井弁護士会
会長 島 田   広

(※1)2012年7月25日付け「秘密保全法制定に反対する会長声明」,2013年9月17日付け「『特定秘密の保護に関する法律案の概要』に対する意見書」,同年11月5日付け「国民の知る権利を侵害する特定秘密保護法案の廃案を求める会長声明」及び同月27日付「特定秘密保護法案の国際原則に照らした徹底審議と廃案を求める会長声明」

2013年12月18日

会長声明