会員執筆記事

R1.5.16 外国人の離婚について 市川徹

Q.私は日本国籍を持たない、A国籍の主婦です。日本人夫と5年前に結婚し、「日本人の配偶者等」という在留資格で来日しました。1年前から夫が浮気をするようになったため離婚したいと考えていますが、夫は離婚に応じてくれません。どのように離婚の手続きを進めれば良いのでしょうか。また、離婚をする場合に注意すべきことはあるでしょうか。

 

A. 外国籍の方が離婚を求めて法的な手続きをとる場合、まずは日本の裁判所で手続きができるのか、すなわち国際裁判管轄の問題を考える必要があります。相手方の住所が日本にある場合には、原則として日本の裁判所で手続きができるとされているので、あなたも日本の裁判所で手続きができるでしょう。

次に、離婚の際に、どの国の法律が適用されるのか、すなわち準拠法の問題を考える必要があります。夫婦の一方が日本に暮らしている日本人である場合には、離婚について日本法が適用されることになるので、あなたの離婚についても日本法が適用されます。

つまり、あなたの場合、法的な離婚の手続きそのものは、日本人同士の夫婦の離婚の場合と特に違いはないことになります。

もっとも、あなたが日本で離婚した場合でも、その離婚がA国内でも通用するかは別の問題です。A国内でも離婚を通用させたいという場合には、事前にA国の制度や法律について検討しておく必要があります。また、あなたが離婚をすると「日本人の配偶者」では無くなるので、日本で生活を続けるためには「定住者」等へ在留資格の変更手続をすることが必要になります。

日本で離婚した後に困ることが無いように、離婚の手続きを進める前に弁護士などの専門家に相談しておくことをおすすめします。福井県国際交流会館でも定期的に専門家による外国人のための無料相談会を開催していますので、お困りごとがありましたら、ぜひお問い合わせ下さい(福井弁護士会・市川徹)。

福井新聞

福井新聞の一覧へ戻る