会員執筆記事

H30.12.20 再生可能エネルギー 笠原一浩

Q ソーラーパネルを建設しようとしているのですが、太陽光発電は環境によいはずなのに、近所の人たちから反対されて困っています。ソーラーパネルの設置にあたり、どのような点に注意すればよいのでしょうか。また、風力発電の場合はどうでしょうか。

 

A 福島原発事故以来、全国的には多くの人たちが原子力からの脱却を志向するようになっています。また、海水面上昇の影響を敏感に受ける島しょ国をはじめとして、気候変動による被害が年々大きくなっている今日においては、化石燃料からの脱却も重要な課題です。そうした事情から、世界的に再生可能エネルギーが急速に拡大しており、日本もその例外ではありません。

一方、再生可能エネルギーを進めていくためには、いくつか留意すべき点があります。

太陽光発電の場合、パネルにあたった光が人家の方向に反射すると、光や熱による害を受けることがあります。光がどちらの方向に反射するか、時間帯ごと、また季節ごとのシミュレーションを行い、人家に影響がない設置方法を考える必要があります。もちろん、ソーラーパネルの設置のために自然を改変するような場合は、地域からの反対は避けられません。特に大規模な太陽光発電事業については、環境省において環境影響評価法の対象とすることを検討中であり、こうした法制度の動向にも留意が必要です。

このほか、風力発電の場合は、人家の近くに設置すると、騒音または低周波音による被害を引き起こす可能性があります。特に低周波音は、聴覚で感じられないことが多いため、影響に個人差が見られますが、人によっては空気振動による健康被害を引き起こすこともあります。この点については、日本弁護士連合会(日弁連)が平成25年12月20日に意見書を公表しており、日弁連ホームページで見ることもできます。

再生可能エネルギーは、正しく推進されることが必要です。トラブルが深刻化する前に、弁護士(会)にご相談することをお勧めします。

福井新聞

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