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第2講 「王様の耳はロバの耳」で考える  情報と 表現の自由・プライバシー

「王様の耳はロバの耳」で考える

情報と表現の自由・プライバシー

 

 

 

自分の耳がロバの耳であることを気にかけている王様。

その秘密を知ってしまった床屋は、人里から遠くはなれた谷まで行って。穴に向かって大声でさけぶことにしました、が、なんと谷の林の木々から声が広がって、さらに物語は思いもよらぬ方向に…。

 

「王様の耳はロバの耳」のお話から、広くみんなに伝える情報と、逆に、人に伝えるべきではない情報について考えてみましょう。

 

[使用するワークシート(PDF)はコチラ]

 


 

では、まず、第1幕の次の動画を見ましょう。

 

  第1幕  ロバの耳の秘密をばらした床屋  (映像:約9分50秒)  

 

 

 

【1-1】 

床屋が、インターネットに「王様の耳はロバの耳」と書き込んで、王様の秘密を国中に広めたことは、許されることでしょうか? それとも許されないことでしょうか?

 

①まず、自分でじっくり考えて、自分の考えをワークシートに書きましょう。
 (目安時間:2分)

 

②(2人以上の場合)自分の考えをワークシートに書いたら、
 その意見をお互いに発表しあって、ほかの人の考えを、ワークシートに書きましょう。

 

③みんなの意見がまとまったら、それをワークシートに書いて、次の動画を見ましょう。

 

 

 【1-1】グループ発表・弁護士コメント  (映像:約4分30秒) 

 

 

 

 

【1-2】

床屋が、人里はなれた谷に掘った穴に向かって「王様の耳はロバの耳」と叫んだことは、許されることでしょうか? それとも許されないことでしょうか?

 

①まず、自分でじっくり考えて、自分の考えをワークシートに書きましょう。
(目安時間:2分)

 

②(2人以上の場合)自分の考えをワークシートに書いたら、
 その意見をお互いに発表しあって、ほかの人の考えを、ワークシートに書きましょう。​

 

③みんなの意見がまとまったら、それをワークシートに書いて、次の動画を見ましょう。

 

 

 

 【1-2】グループ発表・弁護士コメント  (映像:約4分30秒) 

 

 

 

特に【1-2】については、考えが分かれることが多いかも知れませんね。

 


 

では、次に、第2幕の次の動画を見ましょう。

 

 

  第2幕  王様の悪だくみをばらした床屋  (映像:約9分40秒) 

 

 

 

劇の第2幕を見たら、ワークシートの「王様の秘密保護法」をよく読んで、次の問題に進みましょう。

 

 

 

【2-1】

「王様の耳はロバの耳」という秘密と、「王様が国民をだまして、税金でぜいたくしている」という秘密には、共通点があるでしょうか? また、違う点があるでしょうか?

 

(1)「王様の耳はロバの耳」という秘密について、人に伝えてはいけないこと

   だとしたら、その理由はどういうものでしょうか?

   また、人に伝えても良いことだとしたら、どういう理由が考えられるでしょうか?


(2)「王様が国民をだました税金でぜいたくしている」という秘密について、

   人に伝えてはいけないことだとしたら、その理由はどういうものでしょうか?

   また、人に伝えても良いことだとしたら、どういう理由が考えられるでしょうか?

 

①(1)と(2)について、自分でじっくり考えて、自分の考えをワークシートに

 書きましょう。(目安時間:5分)

 

②自分の考えをワークシートに書けたら、次の問題に進みましょう。

 

(3)「王様の耳はロバの耳」と、「王様が国民をだました税金でぜいたく

   していること」をくらべてみましょう。

   この2つの共通点(同じ点)は、どういうところにあるでしょうか?

   逆に、違う点はどのようなことでしょうか?

 

①まず、自分でじっくり考えて、自分の考えをワークシートに書きましょう。

 (目安時間:3~5分)

 

②(2人以上の場合)自分の考えをワークシートに書いたら、

 その意見をお互いに発表しあって、ほかの人の考えを、ワークシートに書きましょう。

 

③みんなの意見がまとまったら、それをワークシートに書いて、次の動画を見ましょう。

 

 

 

  【2-1】グループ発表・弁護士コメント  (映像:約10分)  

 

 

 

では、次の問題に進みましょう。

 

【2-2】

「王様が国民をだまして、税金でぜいたくしている」という秘密をインターネットに書いて国民みんなに知らせた床屋を、「王様の秘密バラシ罪」で罰しても良いでしょうか?それとも、罰するべきではないでしょうか?

それから、王様が、床屋の書きこみを書きなおしてしまったことは、良いことでしょうか?それとも、良くないことでしょうか?

 

①まず、自分でじっくり考えて、自分の考えをワークシートに書きましょう。

 (目安時間:5分)

 

②(2人以上の場合)自分の考えをワークシートに書いたら、

 その意見をお互いに発表しあって、ほかの人の考えを、ワークシートに書きましょう。

 

③ みんなの意見がまとまったら、それをワークシートに書いて、次の動画を見ましょう。

 

 

  【2-2】グループ発表  (映像:約5分50秒)  

 

 

自分たちの考え方と同じ意見はありましたか?

また、自分たちの考え方とは違う意見がありましたか?

では、この問題についての弁護士のコメントを聞いてください。

 

 

  【2-2】弁護士コメント  (映像:約20分)  

 

 

 


 

「王様の耳はロバの耳」の物語は、以上です。

 

最後に、この授業のポイントをおさらいしましょう。

 

 

(ポイント1)

人が秘密にしておきたいと思うような情報は、大きく分けて、2つの種類に分けることができます。 1つは、もし他人に知られてしまうと、ただその人が悲しい/悔しい/恥ずかしい思いになるような、個人的な秘密です。これを、個人の「プライバシー」と呼びます。これは、その個人だけのための秘密ということになります。 もう1つは、社会のみんながその秘密を知ることができれば、社会をより良くしていくために活かすことができる秘密です。つまり、これは「都合の悪い誰か」のために秘密にされているだけで、実は、みんなのため(公共)の情報ということになります

 

(ポイント2)

個人のプライバシーの秘密をばらされてしまうと、その人が大きな不利益をこうむってしまうことになります。​ その一方で、みんながその秘密を知ったとしても、みんなが暮らす社会や、みんなの生活が良くなるわけではありません(それを知った人は面白く思うかも知れませんが、面白半分の好奇心は、個人のプライバシーをばらしても良い理由にはなりません。)。 したがって、個人のプライバシーの秘密の場合は、簡単に人に広げてはいけないことになります。

 

(ポイント3)

みんなの社会や生活などを良くすることにつながる情報は、秘密にするのではなく、むしろ広く知れわたった方が良いことになります。 このように、社会のみんなにとって有益な情報を人に知らせることは、表現の自由という権利として守るべきだと考えます。 また、一人一人がそのような情報を「知る権利」も守られます。

(ポイント4)

この(3)のように考えると、みんなのために有益な情報を発表した人を処罰するような法律や、その発表内容を勝手に消してしまったり書き直してしまったりすることを認めるような法律は、むしろそのような法律の方が問題だということになります。 そのようなダメな法律がつくられないようにするために、「憲法」が「表現の自由」や「知る権利」を守っています。

 

(ポイント5)

人にものを話したり、書いて知らせたりする場合、その後、誰にどんな影響があるかということを考えることは大切なことです。 特に、SNSなどのインターネットを使って発信することには、想像もしていないような大きな影響が、誰か(自分自身の場合もあります)の人生におよぶこともあります。インターネットの良さだけではなく、怖さも知って、利用しましょう。

 

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