弁護士の活動

声明・意見書

福井県警察警察官による逮捕状請求書偽造行為に対する会長声明

福井県警察は,本年12月20日,福井県警察本部少年課の男性警部補を有印公文書偽造・同行使の疑いで書類送検して同警部補を減給10分の1の懲戒処分とするとともに,鯖江警察署生活安全課長ら3人を監督責任を尽くさなかったとして本部長訓戒処分とした。
報道によると,懲戒処分の対象となった警部補は,鯖江警察署と福井県警察本部少年課が逮捕した男性の逮捕状に添付された逮捕状請求書別紙「被疑事実の要旨」を犯行時間帯などを書き換えた用紙に差し替えて,男性の送検に合わせて福井地方検察庁武生支部に提出したとされている。また本部長訓戒となった鯖江警察署生活安全課長は,送検した日に福井地方検察庁武生支部から逮捕状の別紙に割り印がないことを指摘されたが,経緯を詳しく調べないまま,「逮捕状請求前に差し替えがあり,割り印漏れがあったようだ」と事実と異なる趣旨の説明をしていたとされ,さらに福井地方検察庁武生支部は,同課長の説明を信じて,偽造された捜査資料を基礎として武生簡易裁判所に男性の勾留請求をしたとされている。
これらが事実であるとすれば,捜査員による捜査資料の偽造という,捜査手続への国民の信頼を裏切る極めて由々しい事態が生じたというのみならず,かような事態が生起するにあたって何ら警察・検察による内部規律が機能していなかったことになり,ひいては,これら一連の事件が,令状請求手続に臨む捜査機関の在り方自体に起因する,深刻な問題であることを露呈したことになる。
昨今の冤罪事件を例にあげるまでもなく,捜査機関による違法捜査による人権侵害の防止は,検察庁を含めた捜査機関全体の課題であるところ,またしても,かような深刻な事態が生じたことにつき,人権擁護を旨とする弁護士会として極めて遺憾である。
これに関し福井県警察本部の首席監察官は,本件事件への再発防止を徹底する方策として,捜査手続きに関する業務管理を強化する旨のコメントを発表している。
しかし本件は,前記のとおり,単なる警察内部の問題だけではなく,警察・検察を含めた捜査機関の在り方自体に起因する深刻な問題であって,警察が単に内部的に業務管理を強化するというだけでは,再発防止などおよそ期待できない。
警察が内部規律を徹底するのはもちろん,警察官に対する指示・指揮権を有する検察官が法令遵守を徹底するなど,より抜本的な解決手段が必要である。
当会は,警察官による捜査資料の偽造という極めて深刻な事態に対応し,かような事態が二度と生じることのないよう,警察・検察の捜査機関全体によって,再発防止のための方策が徹底されるよう,強く求めるものである。

2011年(平成23年)12月22日
福 井 弁 護 士 会
会 長 安 藤  健

2011年12月22日

会長声明