会員執筆記事

H28.8.31 婚姻費用 元山詩菜

Q 夫との関係が悪化し,私と小学生の長男が家を出て,離婚に向けた話し合いをしています。別居後,夫に生活費を支払ってほしいと連絡をしましたが,無視されています。私は,元々専業主婦であり,パートで働くことになりましたが,生活は苦しく,困っています。夫に生活費を請求することはできないのでしょうか。

 

A 夫婦は,互いに扶養義務を負うため,別居中であっても生活費を分担しなければなりません。夫婦が分担すべき生活費のことを,婚姻費用といいます。婚姻費用には,あなたとお子さんの生活費が含まれるため,離婚後に支払われる養育費よりも高額になるのが一般的です。

あなたと夫は,別居していても夫婦である以上,あなたは夫に対し婚姻費用の支払いを請求できます。

離婚は,夫婦が離婚に合意し,未成年の子の親権者を決め,離婚届を提出すれば成立します。もっとも,養育費や財産分与、慰謝料などお金に関することを決めてから離婚届を提出する夫婦も多く,離婚成立までに時間がかかることもあります。その間,生活費が足りないと,あなたとお子さんの生活が苦しくなり,不利な条件で離婚をすることにもなりかねません。したがって,離婚の話し合いとは別に,離婚が成立するまでの間の婚姻費用についても取り決めをしておくことが重要です。

婚姻費用の金額について,法律に定めはないことから,夫婦が話し合いで決めた金額を支払ってもらうことができます。

話し合いができない場合や,まとまらなかった場合,家庭裁判所に調停の申立を行うことができます。調停では,調停委員の助言も受けながら,双方が納得のいく金額で合意することを目指します。

調停でも話し合いがまとまらない場合には,裁判所が,夫婦の資産や収入など一切の事情を考慮して,妥当な金額を決めて審判を下します。

調停が成立した場合や,審判が確定した場合,夫は定められた金額を支払わねばなりません。支払われない場合,あなたは,夫の財産を差押えることができます。

このように,離婚の話し合いをしている場合でも,あなたは夫に対して生活費の支払いを求めることができます。もし,一人で手続きを行うのが難しいと感じたなら,弁護士に相談することをお勧めします。

日刊県民福井

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