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H28.11.24 事業承継 伊賀弘

Q 私は長年、会社を経営しています。長男が入社していますが、次男と三男は、県外におり福井に戻る気はないようです。長男に会社を継いでもらいたいと思っていますが、何か準備が必要でしょうか。

 

A 近時、経営者の高齢化にともなって、事業の承継が話題となっています。

会社を引き継ぐにあたっては、社長の交代と資産の引き継ぎをスムーズに行う必要があります。

中小企業の場合、取引先や取引銀行は、創業者との間で築き上げてきた信頼関係をもとに、会社との取引を継続していることが多いと思います。長年の信頼関係は、親子といえども簡単に引き継げるものではありません。社長の交代をスムーズに行うためには、社長が元気なうちに、長男を経営に関与させ、後継者として育成することが大切です。

次に、資産の引き継ぎですが、自社株や事業用の資産は、後継者にできるだけ集中させた方がよいでしょう。仮に、何の対策もせずに社長が亡くなった場合、社長が持っていた自社株は、民法の規定により妻が2分の1、長男・次男・三男がそれぞれ6分の1ずつ相続します。そうすると、もし兄弟げんかが起こった場合、次男もしくは三男のどちらかが妻を味方に付けると、長男を会社から追い出すことができてしまいます。

そのようなことにならないように、少なくとも遺言書は作成する必要があるでしょう。自社株を長男へ、自社株以外の財産を他の相続人に相続させるようにします。そのほか、経営に口出しのできない株式(議決権のない株式)を発行し、通常の自社株を長男へ、議決権のない株式を他の相続人に相続させるという方法もあります。いずれにしても何の対策もせず、相続によって自社株が分散することは避けるべきです。なお、検討すべきことは、これにとどまるものではありません。弁護士、税理士、公認会計士などの専門家にご相談ください。

事業の承継は、経営のバトンタッチです。しっかりと準備をし、くれぐれもバトンを落とすことがないようにしてください。

福井新聞

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