会員執筆記事

H31.1.17 成人年齢の引下げ 西尾祐馬

Q.最近、成人年齢を18歳に引き下げるということが話題になっていますが、いつから成人年齢は18歳になるのですか?また、成人年齢の引下げによって、何が変わるのですか?お酒やたばこが18歳から許されるのですか?

 

A.日本における成人年齢は、明治時代から20歳とされてきました。しかし、世界的に見て、成人年齢を18歳とするのが主流になっていたことから、選挙権年齢や憲法改正のための国民投票の投票権年齢などが18歳と定められるようになりました。そのため、一般的にも、18歳、19歳を大人として扱おうという議論が起こりました。

国会では、このような議論を経て、成人を20歳とする民法の一部を改正し、成人年齢を18歳に引き下げることとしました。この改正は、2022年4月1日から施行されるため、2022年4月1日の時点で、18歳以上20歳未満の者(2002年4月2日生まれから2004年4月1日生まれまでの者)は、その日に成人に達することになります。一方、2004年4月2日生まれ以降の者は、18歳の誕生日に成人に達することになります。

成人年齢の引下げによって、18歳、19歳の者は、親の同意を得ずに、様々な契約をすることができるようになります。例えば、スマートフォンを購入する、一人暮らしのためのアパートを借りる、ローンを組む、といったことができるようになります。もっとも、成人年齢が18歳に引き下げられたとしても、お酒やたばこ、公営競技(競馬、競輪、モータボート競走など)に関する年齢制限は、20歳のまま維持されますので、成人年齢を18歳に引き下げられたからといって、飲酒や喫煙が今の大人のように許されるようにはなりません。

成人年齢の引下げによって、基本的に、18歳、19歳の者は、法的には成熟した大人と同じ扱いを受けます。しかしながら、18歳、19歳は、知識や社会経験が未熟なために、悪徳業者に騙され、不利な契約を締結させられ、思わぬ損害を被る危険性があります。そのため、成人年齢が引き下げられたとしても、周りの家族などと十分に相談して、慎重に契約を結ぶことが大切です。

 

以 上

福井新聞

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