会員執筆記事

H28.4.14 写真掲載 安藤健

Q 私はある同好会の会長をしています。同好会の会報で,写真付きで会員の紹介の記事を掲載することになり,会員から写真を提供してもらいました。会員からは写真を会報に掲載することの了解はもらっていますが,それだけで問題はないのでしょうか。

 

A 世の中には様々な団体があり,多くの団体が会報を発行していますし,見栄えをよくするために,写真を掲載することも少なくありません。しかし,写真にはいくつかの権利が含まれていることがありますので,この点に留意する必要があります。

写真に含まれる権利として,まず,考えておかなければならないものは著作権です。皆さんが,写真を撮影するとき,撮影アングル,構図,撮影対象の選択などを気にしていると思いますが,このようなことを気にしながら撮影すれば写真には著作権が発生すると考えてください。裏返すと,固定防犯カメラ,スピード証明写真機などのように機械的に撮影している場合を除き,ほとんどの写真には著作権が発生します。そして,撮影者が著作権者となります。ご質問の場合,会員から了解をもらっていますが,会員は撮影対象に過ぎず,著作権者ではありません。自身が撮影対象となっている写真を撮影者から提供を受けた場合,暗黙のうちに様々な場面での利用を撮影者(著作権者)が承諾していることが多いとは思いますが,万全を期すためには撮影者の了解が得られているかの確認を取るべきでしょう。

また,写真には撮影者側に肖像権という権利が問題となる場合があります。有名人の場合には肖像そのものに経済的利益が発生しますし,有名人でなくともみだりに撮影,公表されない権利があります。ご質問の場合,撮影対象は了解をしている会員ですので,この点は,問題はないのでしょうが,会報で活動内容を紹介するにあたり,個人が特定できるように個人が撮影されているような写真の場合には肖像権が問題となることがありますので,注意をしてください。

このようなことは,会報だけではなく,SNSで写真を利用する場合にも問題となることがありますので,十分に注意が必要となります。

福井新聞

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