会員執筆記事

H29.8.31 後見支援信託 服部宏和

Q 私は、家庭裁判所に申立をし、数年前から、認知症の母の成年後見人になっています。先日、私の父が亡くなり、母は、1000万円を超える額の預貯金を相続しました。そのことを家庭裁判所に報告したところ、家庭裁判所から後見支援信託を利用するか、専門職の後見監督人をつけるかどちらかを選択してほしいと言われました。この場合の後見支援信託とはどういった制度なのでしょうか。

A 後見支援信託とは、後見制度による支援を受けるご本人(本件の場合、成年被後見人であるお母さんのことです。)の財産のうち、日常的な支払をするために必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し、通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みのことをいいます。この制度は、成年後見と未成年後見において利用することができます。

この後見支援信託は、近年増加傾向にあった親族後見人による財産の横領などの不正行為を防止し、ご本人(成年被後見人等)の財産を適切に管理、利用するための一方法として、平成24年から開始された制度です。

したがって、後見支援信託を利用すると、信託財産を払い戻したり、信託契約を解約したりするためにはあらかじめ家庭裁判所が発行する指示書が必要となります。すなわち家庭裁判所の許可を得ることが必要となります。

また、この制度による信託財産は、元本が保証され、預金保険制度の保護対象にもなります。

財産を信託する信託銀行等や信託財産の額については、原則として、弁護士や司法書士等の専門職後見人がご本人に変わって決めた上、家庭裁判所の指示を受けて、信託銀行等との間で信託契約を締結します。

あなたの場合ですと、身上監護の後見人にはあなたが引き続きなり、後見支援信託の利用のために、ワンポイントで、お母様の財産管理のため専門職の後見人が選任されることになろうかと思います。このように、一時期、後見人の仕事をあなたと専門職後見人の二人が分担して行うことになります。そして、専門職後見人がお母様の生活状況や財産状況等を総合的に考慮した上で、後見支援信託を利用すべきか否かを判断し、利用に適しているということになれば裁判所の指示を受けて、信託銀行等と信託契約を締結し、お母様の財産のうち通常使用しない金銭の部分を信託銀行等に信託することになります。その後、専門職後見人はお母様の財産管理について、親族後見人のあなたに任せても問題ないと判断した場合には、裁判所の許可を得、後見人を辞任し、信託銀行の通帳などお母様の財産を従来の後見人であるあなたに引き継ぐことになります。

福井新聞

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